第4章 舞い踊る屋敷
カラスが次の任務の指令をずっと言っていて、三人が呆れていた時だった。
「結婚してくれよ!!俺死ぬんだ!助けてー!」
黄色の髪をした男の子が女の子に泣きすがっている。女の子はとても嫌そうだった。
淳一も見て居られなくなって、金髪男を蹴っ飛ばした。
「えーん!何で蹴っ飛ばすんだよ!!」
三人は金髪男を、得体の知れない物を見るような目で見た。
「早く逃げて」
花怜は女の子に言った。女の子は急いで逃げて行った。
「何で!!俺の婚約者!!」
「ふざけんのも大概にしろ。我妻善逸」
花怜はガチでキレたのか、ドスの効いた声で言い放った。
「何で俺の名前知ってんだよ!!」
「先生と私は、無残に襲われて未来から来たから」
「未来!?」
デッカイ声で叫ぶ善逸を抑え込むように、淳一が頭を撫でた。
「えっ、鬼……?」
淳一は善逸の声に頷いた。
鬼なのに、優しい音がする。とても心地の良い音がして、なぜか心が温かくなる。
「鬼なのに、良い音してる……」
「むっ?」
善逸の言葉に、淳一は首を傾げた。
炭治郎と善逸、その他三人は五感組と呼ばれていて、五感の一つが長けているのだ。炭治郎は嗅覚、善逸は聴覚といったところだ。
「俺は竈門炭治郎だ」
「私は松田花怜。こっちは佐藤淳一、先生と呼んであげてね」
「俺は……我妻善逸」
珍しくおとなしい善逸に、花怜は違和感を持った。淳一の奏でる音は、人を癒す力があるのかもしれない。顔は組長だけど。