第2章 特訓と授業
花怜が寝ている間、淳一は起きていることを命じられた。
別に鬼だから寝なくても良いが、気分的には寝た方が楽だ。
花怜が寝ている間も呼吸が出来ているか確かめるためだ。
「……コイツ、息してんの?」
花怜の寝息はあまりにも静かで、本当に呼吸を出来ているのかと思うくらいだ。
「先生、花怜は……?死んでるようにしか見えない。コレ、息してんの?」
任務から帰ってきた無一郎も、さすがに驚いた。静か過ぎる寝息は、死んでるようにも思える。
「たぶん、出来てるのかなぁ……静か過ぎて分かんない」
無一郎も呼吸が出来ているのか判別出来ないようだ。
「先生も寝ていいよ。僕も寝るし」
「いやぁ、俺は起きてるよ。寝ても起きていても一緒だからさ」
「そう?じゃあ、僕は寝るね。おやすみ」
「うん、おやすみ」
無一郎を見送った後、淳一は眠っている花怜を見つめていた。
俺だってお腹は空いてる。それなりに欲求がある。それでも我慢出来ているのは、花怜がいるからだ。生きている限り、食事はしないとこの世界に来て誓った。
みんなが食べているご飯を見て、羨ましいと思う。
ほんの少しでもいいから、鬼の主食だと言う血を飲んでみたいと思う。それは許される行為ではないから、挑戦することはない。
「鬼って、辛いなぁ……」
真夜中で一人、淳一はそう呟いた。