第2章 始まった関係
「先輩、違いますから!俺は大きい胸が好きとかそういうんじゃなくて!あっ、いやでも先輩の胸は好きですよ!?それは先輩だからって意味で…!」
「……、」
1人混乱しながらそう捲し立てる橋本くん。
けれど大きく深呼吸したかと思えば、真っ赤な顔で私の両手をぎゅっと握ってきた。
「は、橋本くん…?」
「こんな状況で言うのもどうかと思うんですけど…。俺、清香先輩が好きです。入社した時からずっと」
「…え……?」
「優しくて可愛くて…いつも俺の相談に乗ってくれたり…」
「ちょ、ちょっと待って…」
頭が上手く回らない。
橋本くんが私の事を…?
「さっきの話からすると…先輩、今は彼氏いないって事ですよね?だったら俺と…!」
「…オイ」
橋本くんの言葉を遮るように、部長の低い声が響いた。
「なに抜け駆けしようとしてるんだ。そもそも初めからお前はお呼びじゃないんだが?」
「俺が邪魔に入ってなければ、部長は清香先輩も毒牙に掛けるつもりだったんでしょう?」
「何の話だ」
「俺知ってるんですからね!俺だけじゃない、社内でみんな噂してますよ。部長は女性を取っ替え引っ替えしてるって!」
「………」
「俺が先輩を部長の魔の手から守ってみせます!」
きっぱりと言い切る橋本くんに頭痛を覚えたのか、こめかみの辺りを手で押さえる部長。
けれど大きく溜め息をついた後、気を取り直したのか再び私の腰に腕を回してきた。
「…下らない噂だ。確かに若い頃は火遊びもしたもんだが…」
「ぁっ…」
ちゅっと耳元にキスをされる。
思わず反応すれば、クスクスと笑う声がダイレクトに聞こえてきた。
「速水…俺を選べ。そこの童貞よりは満足させてやる自信がある」
「なっ…俺は童貞じゃありません!」
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