第2章 始まった関係
憤慨する橋本くんを気に留める事もなく、私の後頭部に手を添えた部長が再びキスをしてきた。
さっきとは違い、今度は初めから激しいキスを…
「んっ…、は…」
少し乱暴に口内を荒らされる。
けれど不思議と嫌ではなく、私も怖ず怖ずと彼のキスに応えた。
「ふ……ずいぶんと素直になったな」
「……、」
「知ってるぞ…お前が時々俺を艶っぽい目で見てた事…。本当はずっとこうされたかったんじゃないのか?」
「っ…」
部長の言う通り…仕事中、彼に見惚れていた事があるのは事実だ。
あんな素敵な人が恋人だったら…なんて夢みたいな事を考えたのも一度や二度じゃない。
今こうやって部長とキスしているのも夢なんじゃないかと錯覚する程…
「ぁっ…」
私の背中を撫でていた部長が、片手でいとも簡単にブラのホックを外す。
締め付けの無くなった両胸を、私は慌てて覆い隠した。
「コラ…隠すな」
「だ、だって…」
「今日はお前のコンプレックスを克服するんだろう?」
「……、」
「ほら…アイツにもしっかり見てもらえ」
背後に回った部長が、私の体を橋本くんの方へ向ける。
両腕を腰の辺りで拘束され、何も覆う物が無くなった上半身を橋本くんの前に晒す羽目になった。
「先輩…」
そっとこちらへ近付いてくる彼。
けれどあまりの恥ずかしさに視線を合わせる事が出来ない。
「あんまり…見ないで……」
「……。その台詞…逆効果だって解ってます?」
「え…?」
「可愛過ぎて、ホントは今すぐメチャクチャにしたいくらい」
「っ…」
いつも明るくて無邪気な橋本くんが、"オトコ"の顔をしている。
その見た事もない表情に、思わずドキドキしてしまった。
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