第9章 任務
『…裏…?』
顔を上げた私のそのキョトンとした顔に、サスケ君は分かりやすく、はぁ…と、呆れたような溜息をついた。
(…うう…何か私、ダメな妻な上に…
…使えない忍…だな…)
「カカシが本当に夜中、火影室に居なかったのか…の裏だ」
…あ、そういえば…
そんな裏は取っていない。
さっきのカカシさんが本当の事を言っている…という事も考えられるの?
だとしたら、夜に帰宅してくるカカシさんは…カカシさんではなかった…という事になる。
いやでも!…確かに、あれはカカシさん本人だった。
頭が混乱してくる。
「記憶がおかしいのか
何かの忍術に掛けられているのか…
カカシか…
あるいはお前が、だ。
…まずはそこからだろ」
そう言うと彼が徐に右目の写輪眼を発動させた。
『あ…写輪眼?』
「何かの術なら、大抵見破る事が出来る。
…まぁ、カカシとずっと一緒に居るあんただ…別に珍しいものでもないだろう」
(…そう言われてしまえば、そう、なんだけど…)
サスケ君のは、
うちは一族が使う…本来の写輪眼だ。
さき程まで普通の目だったのに…
瞬きをした途端、赤く色付いた瞳に、黒く紋様が浮かび上がった。
紋様がカカシさんとは少し違っているが…
確かに、以前のカカシさんの左目にあったものと同じだ。
だが…こんな風に変化する様は、初めて見た。
『…ど…どう?』
まるで射抜くような視線で見られ…思わず…緊張してしまう。
「ああ、安心しろ。お前に異常はない
…少なくとも今、この場ではな」
その言葉にホッとするのと同時に
彼の瞳はまた…直ぐに漆黒のそれへと戻った。
確かにそうだ。
私…焦って…失念していた。
…術の可能性も…充分にあるんだった。
(…サスケ君の写輪眼…すごく、心強い)
でも…だったら、何の為に…?
一体…誰が…?
どんな、術を…?
「おい、考えるのは後だ
ますは裏を取るぞ
…一昨日、昨夜と…誰かカカシと一緒に仕事をしていた奴を知っているか?」