第7章 絡み合う想い
「昨夜って…どうしてそんな嘘、付くの?君が今泣いていることにこれは関係があるの?」
そのままギュッと力強く抱き寄せられると…彼が酷く動揺しているのが伝わって来る。
『うっ嘘なんてついてません!
お願いだから思い出してくださいっ!』
まさか浮気を疑われてる?
でも手っ取り早く潔白を証明する術がなくもどかしい。
「勿論君の事は信じてる
君が他の誰かに、望んでこんな痕をつけられる筈がないからね…だから、ちゃんと話して」
(…は、話してるのに、通じないんです)
まるで慰められるように背中を撫でられる、が私にとってはこんな緊迫した状況すら…まるで茶番だ。
ただ激昂してる彼をどう宥めたらいいか分からず、混乱していく。
(…覚えてないんだから、仕方のない反応なのかも知れないけど…っ、どうしよう)
「君をこんな目に合わせた奴を、俺は許さない
──…誓ってもいい
死んだ方がいいって位に痛めつけて、必ず後悔させてあげる、大丈夫だよ」
慰める様な言葉
まるで誰かに襲われた…とでも誤解しているような…凄いまずい流れだ。
『あの 私は誰にも、何もされてませんよ?』
混乱しながら…でも同時に私を大切に思ってくれているその思いには、密かに感動してしまったりして…って違う違う!!
とにかく早くこの誤解を解かなきゃ
全てが"要らぬ心配"だと言う事を何とか理解して貰わねば、と気だけが急く。
彼がこれ程怒っている相手は彼自身であって、この労力は全て、無駄なのだから
『あの、カカシさん落ち着…』
──…コンコン
その時ノックと共に扉が開けられた。
「あ〜6代目、ナルトとキバに任せた任務ですけど…って!!なっ何やってるんすか朝っぱらから!いくら帰れてないからって…っ
────…6代目?」
シカマル君が私達の様子に、恐らくイチャ付いていた…とでも誤解したのか慌てるが直ぐ、カカシさんの切羽詰まった様子に声色を変える。
「シカマル、悪いが今取り込み中
…緊急の用件?」
「え、や…緊急って程でも」
「じゃ後
それより今、こっちが緊急事態だから」
『…えっと』
そうですね…、確かに緊急事態です。
こんな状態ではとても、火影としてまともな仕事が出来るとは思えません。