第1章 大切な存在R18
しみじみとそんなことを言うカカシさんを前に、私も自然と笑顔になる
『はい、私はこれからも毎日 ここであなたの帰りを待ってます』
「うん
すごい…幸せ…怖いくらいだ
絶対に守り抜くよ
その為に火影になったんだからね」
それは強い決意を感じさせるような声音
小さい頃から今までずっと孤独な生活だったので、それが当たり前で慣れてしまっているのだ…と以前話してくれたのを思い出す
亡くされた家族を想って胸を痛めた夜もあっただろう…
そんな時でさえ…きっとずっと一人で
彼は強い
でも…例え帰ってくる時間が短くとも、少しでも私との生活の中で家族がいた頃の暖かな生活を思い出せてもらえるのなら、それはなによりも嬉しい事だ
だからこんな風に彼が寛いでくれる瞬間は私にとってもこの上ない幸せな瞬間でもあるのだ
『お務めご苦労様でした
今日は少しゆっくり出来ますね』
「うん、やっと少しだけね
でもまた明日から暫くは…帰れないかな
視察の内容を急いで報告書に纏めないとね
来週には上層部で会議があるから」
そう言ってぎゅっと私を抱く腕に力がこもる
「ごめんね、あまり一緒に過ごせなくて…
俺たち折角の新婚なのに…君には寂しい思い、させちゃってるよね?」
『いいえ、私は火影様の妻です
覚悟して結婚しましたから…私のことはお気になさらず
お勤めに集中して下さい』
本心は隠して、私はなるべく穏やかな微笑みを向ける
「えぇ…何それ〜
もしかして寂しいのって、俺だけ?」
『ふふ…でも、お昼休憩で会えますよね?』
「そうだけど…君、火影室ではこうしてイチャイチャはしてくれないじゃない?」
カカシさんは子供みたいに拗ねている
『し、神聖な火影様のお部屋で、そんな事は出来ませんっ…
か、カカシさんは自来也様の本を読みすぎです…』
こんな物言いが、実は彼が私の寂しい気持ちを慰めるためにしていることだという事も…何となく分かっている
彼は誰に対しても何気ない心配りをしてしまう、出来た大人なのだ
その思いはありがたく、私の心は段々と暖かくなる