第1章 大切な存在R18
やっと家事に集中できるようになった私は夕飯を仕上げると、テーブルに2人分の食事を用意していく
一緒に夕飯を食べらるのは、1週間以上ぶりだ
なかなかゆっくり出来ないのは仕方のない事だし、その事は綱手様の手伝いを長いこと側でして来た私にとっては、ある程度理解が出来てしまうものでもあった
だからこそ心配にもなる
(はぁ…)
勿論、夫が火影である事は誇らしい
…でもやっぱり…もどかしさもあるのは確かだ
忍界大戦中、私達は殆どの時間を別々に過ごした
平和が訪れて、やっと里が落ち着きを取り戻した頃に彼から正式に結婚を申し込まれた
だが…そんな夢うつつでいる時に、5代目の綱手様から、6代目への代替わりが決まってしまったのだ
一緒に暮らすようになって、しばらく経つが…共に過ごした時間の長さはまだそれ程長くはない
本当は毎日同じ食卓を囲んで、毎日同じベッドで寝て…そんな、当たり前だけど幸せな時間をカカシさんと過ごしたいという気持ちもある
ブルブルっと首を勢いよく振る
ダメだダメだ!!
私は、火影の、妻
重責を担う夫を、常にサポートしなければいけない立場なのに…!
そんなわがまま、私の気持ちの中だけで、留めておかなきゃ
暫くすると、身体から湯気が出そうなくらいあったまったカカシさんがタオル一枚でお風呂場から出てくる
(…カカシさん、可愛い
ホカホカになって、気持ちよさそうね…)
火影になっても、どこか飄々とした佇まいは全く変わっていない
自分のペースで、でも常に冷静に仕事をこなしていける夫の器の大きさは、尊敬に値する
火影として、里の皆に慕われる彼が以前より少し遠くに感じてしまう瞬間もあったのだが…
こんな風に、家で私だけに見せる気の少し抜けた顔を見るとホッとして…少し、泣きそうにもなる
「今日は肉じゃが?美味しそうだね」
そう言いながらまた懲りずに私を背後から抱き締め首筋にキスを落とした
「やっぱり君の待ってる家はいいなぁ
こうしてお風呂が沸いてて、美味しそうなご飯が出来てて…
何より君が、俺の帰りを喜んでくれる。
…これが俺たちの当たり前になっていけば…いいな」