第6章 嫉妬R18
「ねぇどうしたの?大丈夫?」
帰路に着く中、様子のおかしい私をカカシさんが身体を屈め上から覗き込んでくる
『あ、いえ…
今も夢の中だったら嫌だなぁ…と』
小さくそう呟く。
でもまさか、またこんなにリアルな夢などある訳ない。
絶対に…これは現実だ。
「夢? 何で夢?」
邪気の無さそうなキョトンとした顔を向けられ、少しだけ腹が立ってしまう
一体今日一日、どれだけこの事を私が気にしていたと思っているのだろう
からかうつもりなら、ここまでにして欲しい
『もうやめて下さい
カカシさんが言ったんですよね?
昨日は帰ってない、ずっと仕事していたって
昨夜の事は夢を見たんだろうって、何であんな事…』
笑い出して、あはは冗談だよなんて言ってくれるのを期待したのに…カカシさんは私の言葉に瞠目して、歩みを止めた。
『カカシさん?』
そして微かに視線が動くと、記憶を探るように頭を抱えている
「あれ?待って…思い出しそう」
『え?』
その様子に、私はよく分からない不安を覚え思わず繋いでいる手を強く握ってしまう
『…ど、どうしたんですか?
お願いだから…もうこれ以上からかうのは…』
「…う…ん、言った
…確かに…言った、ね
あれ?俺何であんな事言っちゃったんだろ?
くそっ…何だか頭が、ぼんやり、して…ごめん
でも昨夜の事はちゃんと覚えてるよ
一緒にお風呂に入って、それからベッドで2人で寝た…よね?」
『そう、ですけど…あの』
思い出してくれた事にはホッとする、がなら何故今朝あんな事を言ったのだろう?
あの時のカカシさんも、嘘を言っているようには見えなかった
寧ろ私を心配し、本気で焦っているようにすら見えたのに
明らかにカカシさんの様子がおかしい
まるで今朝話した内容をたった今引き出しから出したように思い出すなんて…
え、もしかして…
何…?記憶障害、とか?
もしくは…何者かに幻術、に掛けられている、とか?
医療忍者として夫のこの異変に、何か普通ではないものを感じ…余計に心配になってくる。