第6章 嫉妬R18
"まさかそんな訳が "と笑いながら答えてしまいそうになるが…ふと思い留まった。
(いや…カカシさんならあり得る…かも?)
チラリと愛する夫の表情を伺うと、難しい顔をして首を傾げている。これは、あながち冗談でもなさそうだ。
(私…段々彼の事が分かって来てるかも?)
こみ上げてくる笑いを必死で堪えて、胸の内で密かに喜んでしまう
「そう言えば…
さっきはすごい泣いてたけど、どうして?」
ふと私に向き直ると、カカシさんが気遣うような表情を見せる
『あ…それは、その…』
私も彼に合わせて、少し姿勢を正した
サスケ君は彼にとっても大事な存在だ。
きちんと向き合いたい。
そしてそれを、カカシさんには隠したくなかった
『…彼が私の事をずっと…
その…好きだったと言ってくれて…
その想いを今日まで…
自分で…封印していたって…今日、久し振りに私に会うまで… "忘れていた感情“ だった───って言ったんです』
思い出すとツンと鼻の奥がまた痛くなり、油断すると泣いてしまいそうになる。
こんな時涙腺の緩い自分が情けなくなる。泣いたって、仕方のない事だ。
ただ同情しているようで、サスケ君にも嫌な想いをさせてはいなかっただろうか…と心配にもなった。
「成る程…
サスケの苦しみを感じちゃった?」
『…はい…
好きと言ってくれたのは純粋に嬉しかったのに…彼の苦しみを全然実感出来ていなかったのが…悔しくて』
「それは仕方ないさ、
サスケの詳細な事情なんて…当時の上層部でもちゃんと理解するのは難しかったよ
…ま、だからこそ あいつを取り戻す為にナルトが奔走した。そして俺が上層部を説得した。
近しくなければ分からなくても当然さ」
カカシさんの手が、また頭に乗ってくる。
ヨシヨシ、と撫でられるたび
認められているように感じてホッとしてしまう。
『一年前に大戦が終わって
ただでさえ未だに1人で里外へ出てるのに…
こうやって少しずつ…里にいる期間に
日常を取り戻していくしか…ないのかなって…』
「ああ、だけどあいつはそれだけの事をしてしまった…自分で、乗り越えなきゃいけないんだ
どんな事情があれ、ね」