第5章 サスケの想い
サスケ君が…私を?
告げられた想いに、
一瞬目の前が真っ白になってしまうが、必死に自分の中で咀嚼していく。
(…嘘でしょ…知らなかった)
恐らく彼の言うずっと…というのは、アカデミー時代の事かも知れない。
でも彼が里を離れてから、もう5年が経っている。
彼が抜け人として敵の渦中にいる間には、本気で木葉の里を つぶそうと考えていたこともあったらしい。
ナルト君やサクラちゃんを、
本気で手に掛けようとした事すらあったと聞いた。
それはにわかには信じられない話だったが…
やっとこうして目の前で確信する。
その時…彼の心は、
闇の中に…あったのだ。
今までの日常を 自ら心の奥底に、
閉ざしていたんだ。
だとしたら…
その"闇"に囚われていた時の彼は…
仲間への想いも…
仄かな、この───私への恋心も…
全部自分の中に、封印して…?
咀嚼すればする程、抱き締める腕の力の強さに…
その開放されたという想いを感じて、目頭が熱くなってくる
彼は…まだあの頃のままなんだ
時間が、止まってる
やっと取り戻した自分の中の感情も、そのままに…
(…なんて事…
こんなの…辛過ぎる)
私は抱き締められた事で動揺した自分の心を無理矢理にでも落ち着かせ…呼吸を整える
そして微かに震えているサスケ君の背中に腕回し そっと撫でた
「気付かなくて…ごめ…ん」
涙が溢れてくる
自分の意思では止められなかった
私は…なんて、無神経だったのだろう
その思いに、悔しささえ感じる
こんな気持ちを、彼がぶつけてくるまで、気付いてもあげられなかったなんて…っ
沢山一緒に過ごしていたのに…
私は…彼のいう通り、ずっとカカシさんしか見ていなかった
(あの当時…もし、気付けていたら…)
可能性の話をしても仕方がないのは分かっている…でも…もしかしたら彼の心に…少しでも寄り添えたかも。
彼の心の闇が…少しでも救われていたかも、知れないのに…
『…ごめん…、ごめん…
…サスケ君……!
……あ、ありが…と…う…』
ハッとしたように、サスケ君の身体が硬くなる
戸惑う想いが伝わってきて、腕の力が弱まっていく
私はそっと彼から離れると、その顔を見つめた。