第5章 サスケの想い
『…それは、いいけど』
と、サスケ君が苦しそうに顔を歪めたのが目に入り 次の瞬間、自分でも信じられない事が起きた。
私の中ではまだ子供だと思っていた彼に腕を引かれ…そのまま驚く程強い力で、抱き締められていたのだ。
起こっている事実が信じられなくて、思わず抵抗することも忘れてしまう
「やはり言葉にするのは…得意じゃない」
突然の彼の行動と
耳元に落ちてくる掠れた声に、
反射的に頬だけは熱くなってしまう
『サ、サスケくん!?…な…にを…』
混乱する中、頭をフル回転させる
言葉にするのは、得意じゃないから…って、
この行動、なの?
分かりにくいサスケ君の微かに赤く染まる頬
思い詰めたような顔
あり得ないと思いながらも、
少ない手掛かりである"点"を
頭の中で"線"に繋いでいく
…もしか、して…
いや、あり得ない
だって、彼とは…何年振り…と言う程会っていなかったし…
私の事を覚えていてくれてることにすら、喜んだくらいで…
それ程に…私達には…長い…
空白の期間があった、のに…
到達したくないような自意識過剰な答えが頭に浮かんで来て、気が遠くなる
まさか…そんな訳…
きっと、これには何か理由が…
「良かったな…
カカシと結婚出来て
あんたずっと、
あいつの事…見てた、もんな」
(な、んで、知って…)
その絞り出す様な苦しげな声に、
胸が締め付けられる。
「ずっと…好きだった…花の事
────と言っても…
暫く…忘れていた感情だ
今日思い掛けずあんたの顔を見て…封印していた感情を、思い出した
…っ…苦しいぐらいに…溢れてくるんだ
自分でも…抑えられない…っ」