第4章 サクラの悩み
直ぐ喧嘩してしまうという年頃の男子2人に一年振りに会うサスケ君への想いでガチガチのサクラちゃん、か。
(う〜んどうだろう
3人の、緩和剤…ぐらいには、なれるかな?)
夜、サクラちゃんに連れられて向かった約束のお店は、意外にも庶民的で質素な場所だった。
『…え、一楽なの?!』
そこは里でも人気のあるラーメン屋。
ナルトくんのお気に入りのお店でもある
「はぁ…まぁ、
決めたのナルトなんで…
こんな事ならもう少し気の利いたゆっくり出来る店を、私が押さえておくべきでした…」
4人でゆっくり話をする雰囲気としては、確かにちょっと違うけど…流石、ナルトくんらしいチョイスだ。
「ナルトの奴、ただ自分がラーメンが食べたいってだけなんですよきっと!
…ったく、もっと空気読めっての」
『…あはは』
ちょっとばかり辛口になるサクラちゃんと軽口を言い合い、お店の前で2人 顔を合わせ苦笑いしていると、後ろから声を掛けられた。
「おう、サクラちゃん、花ねーちゃん
2人共久し振りだな!」
振り返ると、今日も元気な様子のナルト君と共に
久し振りに見る 少し大人びた姿のサスケ君がいた。
「サスケくん!
───…お帰りなさい」
勿論私も会えて嬉しかったのだが…
その瞬間のサクラちゃんの感極まった表情に思わず顔が綻んでしまう
ちょっとでも刺激したら直ぐにでも泣いてしまいそうな…それでいて嬉しい様子を隠しもしない姿に自然と見入ってしまう。
(ホント、可愛いなぁ…)
こんな顔を向けられて、嬉しくない人は居ないはず。
「ああ」
そんな彼女に向かって、素っ気なく返すサスケ君をチラリと見上げた。
何の感情も読めない、無表情に見える
(…うわ…
相変わらず分かりにくいな
…でも、喜んでる、よね…)
その端正な顔が微かに赤く色付いている気がするのは 気のせいじゃないと思う
…そういえば…
彼と話すのはいつ振りだろう?
大戦後、一時的に里に戻った彼にサクラちゃんが甲斐甲斐しく治療を施していたのを思い出す。
当時はナルト君と2人で片腕を失くし 重症だった
(…あの時病院で少しだけ話した、かな…?)
でもちゃんと向かい合いこうして顔を見て話をするのは、彼がまだ抜け人になる前の事だ。