第4章 サクラの悩み
里に留まることは難しいんだろうな
綱手様が以前私にそうしてくれたように
純粋な想いを長い事抱え続けているサクラちゃんの 力になれたら…その感情は私の中に、自然と湧き起こった。
でも今や綱手様の懐刀で、特別に目を掛けられているサクラちゃん
綱手様が彼女に一目置いている事は、はたから見ていても分かる。
サクラちゃんが弟子という立場から殆ど卒業している とは言え…今の時点で、この子を手放す事に綱手様はいい顔をしないだろう。
その上私達のように里に所属する忍が、個人的な理由から 長期間任務から離れる…というのは、特例以外で殆ど聞いた事がない。
(きっと一筋縄ではいかないだろうな)
唯一の救いは 今の火影様が
2人の恩師でもあるカカシさんだ、という事だけど…
彼女の希望を叶える為には、当人同士の思いのみならず…あらゆるハードルがありそうだ。
幸い、綱手様とカカシさん 2人を説得する際には 近しいところにいる私で、役に立つ機会があるかも知れない。
「あの…花さん、
今日仕事の後って、何か予定ありますか?
…実はその…
2人と、ご飯を食べる約束をしてて…」
『特に予定はないけど…
今日は水入らずで会った方が良いんじゃないの?』
せっかくの言葉は嬉しいが 積もる話もあるだろうし、私が居て邪魔になっては申し訳ない…とも思ってしまう。
「カカシ先生の代わりに…でもダメですか?
ホントは先生も居てくれたら嬉しいけど、今朝のあの様子じゃきっと無理そうだし…
私久し振り過ぎて…不安で」
確かに…カカシさんは場を和ませる独特の雰囲気を持っている。
それに本来ならサクラちゃんのこの相談は、私よりカカシさんの方が 立場的にも的確なアドバイスが出来るだろう。
2人の事も、私以上に理解しているだろうし…
サスケくんを説得する場面があったとしても
カカシさんが適任の様な気がする。
ふと見ると、まるで捨てられた子犬のように頼りない目でサクラちゃんが私を見ている
(…う…この目には…弱い…)
『…確かにカカシさんのあの様子じゃ
2、3日はゆっくり相談に乗るのは 無理、かもね…
分かった、カカシさんの代わりと言ったらおこがましい気がするけど……私が行って、役立つ事もあるかも知れないし ね』