第3章 違和感
私は、夫の火影然とした姿に思わず微笑んでしまった
(良かった、ちゃんといる)
無事な姿に心底ホッとする
以前綱手様は承認書類を山の様に火影室に溜め込んでいたが、彼も類に漏れず今日も沢山の書物に囲まれていた
今度お片付けに来なきゃ…
無事を確認して気が抜けたのか、今はどうでもいいそんな事を、ふと思ってしまう。
「ん?」
何も言わない来客を不振に思ったのか、カカシさんが顔を上げた
『カカシさん、おはようございます』
彼が視線を上げるタイミングで、
私はカカシさんの側まで おずおずと歩み寄っていった
「花ちゃん?
…珍しいね、こんなに朝早く…」
カカシさんが私を見てふっと表情を和らげたのが分かった
疲れた顔 してる
『昨日のこと…謝りたくて』
私は側によるとカカシさんの頬に手を伸ばした。
本当は徹夜でやらなければいけない仕事に追われていたはずなのに…
昨日はお風呂あがりに身体を拭かせた上、髪まで乾かして貰って…
恐らくは、私が眠るまで彼は添い寝までしてくれた。
それもきっと私が 寂しいなんて言ったからだ。
私は後ろめたい思いで一杯だった
うっすらとクマが見える彼の目元に指先を当て、医療忍術を発動すると自分のチャクラをカカシさんに流しこんでいった。
「え…なんかあったっけ?
え〜と…色の秘技で俺を籠絡しようとしたことなら…むしろ喜んでるけど…?」
カカシさんは、大人しくされるがままになっている
目の下の影が段々と薄れていくと、気持ちよさそうに私の掌に頬をすり寄せた。
『はぁ…その事じゃありません
朝起きたら、あなたが黙っていなくなっていたから私…心配してしまいました
徹夜されるつもりでいるなら、一言 仰って頂ければ…あんな事…』
「…え?」
『…あのですから、
アカデミーに戻るなら戻ると
そう、仰ってくだされば…』
カカシさんが妙な顔をしている
「えっと、俺 昨日は帰ってない…よね?」
『……』