第25章 終章
水月君と香凜ちゃんが2人と別れを惜しんでいる間も…私は涙を拭いつつ…もう一度辺りに視線を送り…サクラちゃんの姿を探していた
サスケ『…そろそろ行くぞ重吾』
そうして私達に背を向け歩み出した2人
(サクラちゃん…本当に…これでいいの?!)
どうしようもないもどかしい想いに…仕方がないのだと自身に言い聞かせながらも…私は悔しさを滲ませた掌をギュッと握り締めていた
それに気付いたカカシさんが、優しく肩を抱いてくれて…ボソリと呟く
カカシ『…花ちゃん、大丈夫…ちゃんと来たみたいだよ、サクラ』
その言葉にハッとして顔を上げれば…サスケ君の背中を追いかけて行くサクラちゃんの後ろ姿があって…また目の前の視界が涙で滲んでいった……
ーーー
サクラ『サスケ君っ…!!待って…!!』
息を切らせて走り寄って来たサクラは…どう見ても長旅をする様な格好ではなく…コイツには、最早この旅に付いてくる意思がないのだと悟る
サスケ『サクラ』
サクラ『ごめん、サスケ君…私…ずっと、今度こそ…サスケ君の旅について行きたいって…そう…思ってた…でも…
今は…私が側にいない方が…サスケ君の傷は…癒えると…思うから…』
息を切らしながらも言葉を紡ぐサクラを、俺は溜息を付いて見つめる
サクラ『だから…私は付いて行かないって決めた』
サスケ『そうか…悪いな…気を使わせたようだ』
サクラの気持ちを知っているが故に…出来れば今は…色恋沙汰とは無縁でいたい
そう簡単に花の事を忘れられるとは思えないし…それはサクラに対して、申し訳ない事だと思っていた
それを汲み取ってくれたサクラ……恐らくは……直前まで悩んでくれていたのだろう……その目は……前日に寝ていない事を思わせる程に…赤い…
長く自分を思ってくれている存在…だからこそ…もしコイツに向き合う時があるのならば…俺は一度まっさらになるべきなのだ
(……花がわざわざ焼いてくれたお節介……なのだろうがな……)