第24章 まだ見ぬ未来へ
不思議なことに、ナルトの言う通りだった…
自分ではない誰かに想いを共有すれば…心なしか痛みは軽くなった様に感じ…狭い視界が少しだけ開く
(…俺に足りないのは…そういうところ……か……
……チッ……ナルトの癖に……)
暗い岩の上から里を望みながら…幸せそうだったと言う花を想う
…彼女の笑顔を思い浮かべれば…切なく焦がれる胸の奥が、仄かに…暖かくなった…
ーーー
カカシ『やぁ、サスケ、帰ったんだね』
火影室の扉を開けると、ムッとするほど中の空気が暖かい
廊下との温度差に、一瞬躊躇する程だった
見ればカカシはその不必要にも思える暖かさの中…火影のマントや装束を脱ぎ捨て、薄手のTシャツ一枚というラフな格好で机に向かっていた
その姿には当然、威厳などは皆無だ
(…真冬だってのに…なんなんだ、この暑さは…)
俺は顔を顰め、今回の任務内容をザッと纏めた報告書をカカシの目の前の机目掛け、バサリと放り投げた
カカシ『え?もう報告書書いたの?お前、今日帰って来たばっかでしょ?』
サスケ『任務中、時間のある時に書いた簡易な物だ
…詳細は後日、また別に提出する』
カカシはザッとその報告書に目を通して口角を上げる
カカシ『うん、流石だね
ナルトの報告書とは大違い
長らくの任務、ご苦労だったな
…暫くは、ゆっくりすると良いよ』
サスケ『…その事、なんだが…実は頼みがある』
ーーー
俺は目を見開いて、サスケの真意を測るようにその瞳を見据えた
あの一悶着があってからと言うもの…サスケは罪悪感や気まずさからか、俺と視線を合わせなくなった
恐らくは自身の犯した罪に対し…同等と思われる罰を与えていない事が…サスケ自身を逆に苦しめているようにも見えた
(…ま…そう簡単に罪の意識を失くされちゃっても困るんだけどね…
可愛い弟子に目を逸らさられ続けるってのも…
ちょっとばかり悲しいものがある…)
だがそのサスケが今…真っ直ぐに俺を見据え
…以前の様に、彼が里を離れ、長期に渡る旅に出る許可を求めている
カカシ『もしかして…里を離れる事が自分への罰だとか…お前…まだそんな事思ってるの?』