第22章 未来を見据えて(3人視点)
サスケ「…悪かった…
こいつが泣いてる理由は…よく分からない…
…が…そうだな…俺が泣かせた」
カカシ「…それ以外ないでしょ…」
そう言ってから
花の頬をそっと撫でるその顔は、俺の見たことのない表情だった
咄嗟に俺の闘争心に火が付いた
花を、諦めたく…ないと…
カカシ‘「…俺のいない隙にこんな事するのは…今回限りにしろ、サスケ
…じゃないと流石の俺も、黙ってないよ」
いつもは様相を崩さないカカシの…内に秘めた怒りがひしひしと伝わって来た
こいつを、誰にも譲るつもりはないと
その目が、訴えていた
咄嗟に出た言葉は
俺の気持ちを加速させる
サスケ「…約束はできない」
ーーー
ーコンコン
ノックと共に微かに開けられる扉
花母『…カカシ君…
…入ってもいい?』
穏やかな声で入室を問われ
本に落としていた目線を扉に移し
慌てて居住まいを正す
カカシ『はい、どうぞ』
遠慮がちに開かれた扉から顔を出した義母が「お邪魔じゃなかったかしら?」などと言いながら、にっこりと微笑んだので、何故か赤面してしまった
花母『…お仕事の後でしょ?
お腹が空いてるんじゃないかと思って』
お盆の上には湯気の立つ湯呑みと
夜食と思われるおにぎり
カカシ『すいません
どうか、お構いなく』
だが途端に空腹に気付いて腹の虫が鳴る
花母『ふふ…花が顔を出す度にぼやくんですよ
「カカシさんは放っておけば忙しさにかまけてちゃんと食事を取らない」って…
だから、ちゃんと食べて下さい
そうすれば、この子も安心しますから」
そう言われて、おずおずと
お握りに手を伸ばした
カカシ『…じゃあ、頂きます』
花母『どうぞ』
それを一口頬張れば
意図せず涙が出そうになった
カカシ『…あ…はは…
花ちゃんと…同じ味だ…』
ここ数日…当たり前に食べていた花ちゃんのご飯を、食べれなかった
胃の中に優しく咀嚼され落ちて行く
暖かな…味…
花母『ふふ、そうですか?
おにぎりなんて
誰が作ったって一緒だと思うけど』