第22章 未来を見据えて(3人視点)
とは言え 寝入ったばかりの彼女を起こすのは流石に忍びない。
(もう暫く、後にするか…)
そう思い近くの座椅子を引き寄せ そこに腰を据える。
久々に手に取った愛読書を手に、俺は枕元の小さな灯で浮かび上がる 愛する妻のあどけない寝顔に見入った。
「花ちゃん
早く元に戻って────…?
じゃないと…──俺は…」
パックンの あのまるで保護者然とした視線を思い出す。
何でもお見通しだな、参ったよ
ま、確かにちょっとは強がったけどさ…
(俺以外の男を愛そうと────…なんて…
昨夜は良くもまぁ そんな余裕の台詞が言えたもんだ)
花ちゃんを安心させる為とはいえ、自分で自分を褒めてやりたくなる
だが実際のところ…万が一にもこの子が俺から離れる事でもあれば────…
そう思えば ザックリと半身が削ぎ落とされたような、死ぬ程辛い気持ちになってしまう。
いや──…いっそ、そうなったなら…
死んだ方が楽かも知れないな────
……この子は俺の、諸刃の剣
確かに例えそうなっても この子を愛する気持ちが消える訳じゃない。
だがきっと恨むことも出来ない。
まかり間違って花ちゃんがもし サスケを選ぶ事があったとしても…──それでもきっと、俺はこの子の幸せを 心から願ってしまうのだろう
「でもさ…だからって…
誰も傷付かないとは
言ってないんだからね…」
そっとその頬にかかる髪を指先で掬い上げる。
呟いた言葉は静まり返った室内に 虚しく消えていった。
はぁ…と人知れず溜息を吐いて 俺は長い夜に耐える様に 手元の本に目を落としたのだった。
────…
「あ〜あ…こんなに泣かせて…」
花に告白したあの時、後先考えずに俺は初めて 自分の思いの丈を女にぶつけていた
何処かで自惚れていた──…自分が想いを告げさえすれば 受け入れてくれるんじゃないかと。
告げる勇気がなかった、あの頃の…もうガキのままの俺ではないと…
突如現れたカカシが俺に向けて来たのは、驚くべき事に…明らかな嫉妬の瞳だった
その意外な反応に目を見開く
(なるほど…恋愛結婚、か…)