第22章 未来を見据えて(3人視点)
とは言っても、どうやら寝入ったばかりのこの子を起こすのは流石に忍びない…
(…もう暫く、後にするか…)
そう思い近くの座椅子を引き寄せるとそこに腰を据える
…久々に手に取った愛読書を片手に、手元の小さな灯だけで…愛する妻のあどけない寝顔に見入った
カカシ『…花ちゃん…
…早く…元に戻って…
じゃないと…俺は…』
パックンのあの…まるで保護者然とした視線を思い出す
何でもお見通しだな…参ったよ…
…確かにちょっとは強がったけどさ…
(…俺以外の男を愛そうと
…なんて…
…昨夜は良くもまぁ…
そんな余裕の台詞が言えたもんだよね…)
花ちゃんを安心させる為とはいえ、自分で自分を褒めてやりたくなる
…だが…実際のところ…
万が一にも…
この子が俺から離れる事でもあれば…
そう思えば、ザックリと半身が削ぎ落とされたような…死ぬ程辛い気持ちになる
…いやいっそ…そうなったなら…
…死んだ方が楽かも知れないな…
この子は俺の…諸刃の剣…
…確かに…例えそうなっても
この子を愛する気持ちが消えないのは
嘘じゃない…
まかり間違って
花ちゃんがサスケを選ぶとしたら
きっと俺は傷付きながらも…
この子の幸せを…心から願うだろう…
そうする事しか、出来ない…
カカシ『…でもさ…
だからって…誰も傷付かないとは…
言ってないんだからね…』
そっとその頬にかかる髪を指先で掬い上げる
呟いた言葉は静まり返った室内に
…虚しく消えていった
はぁ…と人知れず溜息を吐いて
長い夜に耐える様に手元の本に目を落とした
ーーー
カカシ「あ〜あ…こんなに泣かせて…」
…花に告白した、あの時
後先考えずに俺は初めて
自分の思いの丈を女にぶつけていた
何処かで自惚れていた
…自分が想いを告げさえすれば
受け入れてくれるんじゃないかと
告げる勇気がなかった…あの頃の…
もうガキのままの俺じゃないと…
突如現れたカカシが
俺に向けて来たのは
…驚くべき事に…
明らかな嫉妬の瞳だった
その意外な反応に目を見開く
(…恋…愛…結婚……か…)