第22章 未来を見据えて(3人視点)
泣きじゃくる私のおでこに、カカシさんの優しい唇がそっと触れる。
「…花ちゃん
可愛い、俺の奥さん
心から、愛してる
さ、いい子だから もう寝て…
ゆっくり休んだら
────ちゃんと帰っておいで」
────…
───4日目…
(お前に一体…──何が分かる──ッ)
「何なら今から…あんたの一番大事な人間を殺してやろうか?」
そうすれば少しは理解出来るかと、下から睨め付ける。
挑発的な俺の言葉に、カカシは小さく嘆息するが その表情を崩すことはなかった。
大人の余裕でゆったりと見下ろしてくる
何でも見て来たようなその物知り顔が、ガキだった俺には 酷く気に障った。
…それを今でも、はっきり覚えている
あの時の俺は、人生で最も深い…絶望の淵にいた。
だがそれに対した時のカカシの目も瞬間…俺同様に暗く、重い闇を映す。
「はぁ…ま、
そうしてもらっても構わないんだけどね
生憎俺には…そんな人間 1人もいないんだよ
もう…──みんな殺されてる」
カカシの言葉に、俺は目を見開いた。
「俺もお前より長く生きてる
…時代も悪かった
…失う苦しみは、嫌って程知ってるよ」
(……そう、か……)
その言葉で一気に理解した
コイツの瞳に潜む…闇の理由
その闇に、自分と同じ物を───…ずっと感じていたのだから…
────…
遠い記憶だ。
あれは…──俺が里抜けをした日
病院の屋上でナルトと遣り合って…追いかけて来たカカシが、俺に説教をした、あの日。
────…
「…っ…スケ…、おい、サスケ」
眠っていたのか
昔の事を 夢に見た。
「お前はどこか…俺に似ているよ
──…昔の俺に、さ…」
カカシがあんな事を言ったからだろうか
目隠しのせいで前が見えない。
だがその声は聞き知ったもので、俺は気怠く顔を上げた
「その…声…
────重吾…か?
…こん、な牢に…まで…
わざわざ…何しに…来た?」
「今回のお前の一件
…水月と香燐から聞いた
俺はその場に居れなかったからな
…お前の事が気掛かりだった」