第22章 未来を見据えて(3人視点)
────…
(頭が…
割れるように痛い)
サスケ君の側から離れると、あのモヤが掛かったような強い術の効果は発揮されず、変わりにこの酷い痛みが 昼夜を問わずに私を襲った。
未だ術中にいるのだろう私は、こうしている今も気を抜けばサスケ君の事ばかり考えてしまう
『…っ…』
(……苦しい……痛い……
…サス…ケ君に…会い、たい──…っ)
正気を無くさぬよう、カカシさんを忘れぬよう 犬達は交代で私の側に付き添ってくれている。
「大丈夫か花」
私は寄り添ってくれるシバの灰色の毛に顔を埋めた。
(…助…けて…っ
…か…かし、さ…)
この痛みは、まるでそんな私を責めるかの様に 苦痛へと貶める。
私はそれに必死に耐え、布団の中でただ悶えるしか出来なかった。
────…
ふとシバが顔を上げた。
ガチャ───…
暫くして部屋の扉が開けられる
『お母…さん…?』
だが次の瞬間、帰ってきた声に私は直ぐ 身体が凍り付いてしまった。
「ごめん、花ちゃん…俺だよ」
『…か…かし…さん…?』
お母さん…カカシさんにだけは、まだ顔を合わせられないと言っておいた筈なのに…
だがそこは親子だ。意地を張った娘の本心など、きっと透けて見えていたのかも知れない。
──…本心では会いたくて仕方なかった。
「俺が無理を言ったんだ
お義母さんを、責めないでね」
呼吸が止まりそうになる。
頭の整理など全く出来ていない。
サスケ君の色の術に落ちた事を後ろめたく思う罪悪感に只…苛まれるばかりで…
今はまだ、それ以外何も考えられない。
こんな状態の私に、カカシさんがどんな反応をするのかと考えれば 恐怖で身体が竦み上がってしまう。
「───大丈夫?
頭…ずっと痛むんだって?」
そっとカカシさんのひんやりした手がおでこに乗せられ、ビクリと身体が震える。
それだけで泣きそうになった。
触れられた箇所から、自然と彼を愛しく想う気持ちが溢れ…やはりどうしようもなく、私にはこの人が必要なのだと 全身が訴えていた。
その事に少しホッとさせられる
術の力より──…カカシさんへの私の想いは優っているという事だ。