第21章 叶わない想いの行方
「だから…と言った訳でもない
それに…俺が言えた道理ではない
たが花───…どうか、カカシと向き合ってくれ
お前らがダメになったら…っ…俺は…」
サスケ君の言葉にサクラちゃんが衝撃を受けているのが伝わって来る。
(なに…言ってるの?
里を抜けて…もう戻るつもりがないなんて…
そんなの…ダメ…っ、
…絶対に…っ)
3人が里へ戻って来たサスケ君と 昔のように笑い合って話していたあの夜の事を思い出す。
羨ましくなるような絆だった。
3人はそれを命懸けで 取り戻した筈なのに…
折角取り戻したその絆を こんな事で無くすなんて
────…ダメに…っ…決まっている!
私は拳を痛い程に握り締めた。
(…笑わなきゃ…っ…大丈夫だって…
頷かなきゃ…っ…ちゃんとカカシさんと向き合って話す、だから心配ないって…
サスケ君の事も、許すって…)
頭ではそうした方が良いと分かっている。そうすれば皆が安心するし、全てが丸く納まるという事も…
でも…私は───…
結局ふるふると頭を振る。
『…お願い…パックン…
私を、一旦実家に…戻らせて…
…時間が…欲しい…の』
カカシさんに会いたくない
カカシさんがどんな風に私を見るのか、今はそれを想像するだけで怖い。
元7班のメンバーが命懸けで取り戻し 守った彼を…ここまで追い込んだのは自分だ───…
カカシさんが里からサスケ君を追い出す姿が もし 現実になったら──…私は到底 自分を許せないだろう
かと言って、皆を説得する自信すらもない
ポタポタと止まらない涙が パックンの頭上に零れ落ちる
「花、思い詰めるな」
私はツカツカと大股で歩み寄ると 力の限りでサスケ君の頬を無意識に叩いていた。何度も、何度も。
『馬鹿───っっ!!!
…サスケ君の、馬鹿───っ…!!
何でっ!!こんな事したの────!!
───何で!!どうして…っ!!!
仲間や、カカシさんの事…──っ
傷付けるって、どうして思わなかったの?!』
咄嗟にパックンを離してしまう。でもそのまま空いた両手を使って続け様に サスケ君を殴った。
掌が痛くなる程殴り続けると、頭にまたモヤがかかって来て 余計に腹が立つ。