第21章 叶わない想いの行方
「花さん!!」
「花姉ちゃん!!」
ナルト君とさくらちゃんが咄嗟に私の腕を両側から押さえ付けた。
「すまない…花──…
俺は…っ…
お前が…どうしようもなく好きで…
我を、失っていた…」
ふと私を抑えつける片側の腕がふっと解放されて、目の前にいるサスケ君が思いっきり背後の壁目掛けて吹っ飛ばされる。
「ナルト…っ」
石造りの壁の破片が ガラガラと音を立てサスケ君の倒れた上に崩れ落ちた。
「サッサスケェ────ッ!!」
香燐が慌ててそこに駆け寄り彼を抱き起こす。
「里を抜けるなんて…簡単に言うなっ!!!
テメェはホントっ───学習しねぇ奴だなっ!!
そんなにボッチが良いのかよっ!!
…っ…この根暗野郎がっ!!!」
ナルトくんの剣幕とこの状況に サクラちゃんの私を抑える腕も震えている。込み上がる嗚咽を我慢しているのがその腕から伝わってきた。
途端に犬達がザッと私を取り囲む。するとボヤけた意識がハッキリしてきた。私も泣きすぎて、喉の奥が酷く傷む
でもそれ以上に、心が痛かった。
「カカシ先生はなっ!!
花姉ちゃんがお前に拐われたってのに
お前が里に残れるように 事を荒げねえようにって 必死だったっ!!
花姉ちゃんの事、どんだけ心配してると思ってんだ──…っ!!!
なのに…お前の事すら…っ、
守ろうとしてたんだぞっ!!!
…んな事てめぇには!!
どうでもいい事なのかよっ!!?」
───ナルト君…っ
暫く荒い息を整えてから、ナルト君は溜息を吐く
言いたい事を言ってスッキリしたのか、ナルト君もサスケ君を瓦礫の中から助け出した。
グッタリとしたサスケ君は、その後もう 口を開く事はなかった。
「…花姉ちゃん、安心してくれ
──サスケは里を抜けねぇ
──俺が抜けさせねぇ…
ちゃんと───…カカシ先生にも、謝らせるからよぉ…
…だから────この通りだ…っ
どんだけ時間がかかってもいいから…っ、いつか…こいつの事…
許してやってくれってばよ…っ!!!」
ナルト君がその場で私に深々と頭を下げたので、驚いた私の目の前は 涙で霞んで 何も見えなくなってしまった。
──────…