第20章 追跡とアジトR18(3人視点)
あのモヤモヤが邪魔して、またそこには辿り着けない。
もどかしさに頭がどうにかなりそうだった
ただ、私はその事をとても思い出したい────それだけは確かだった
不意に、ヒョイと買った食材の籠を奪われる
「あらら〜大丈夫?
…随分、辛そうだね」
昨日まで冷たい視線を向けていた彼は、何故か今、同情したような顔付きで私の顔を覗き込んでいた。
『……』
よく…掴めない人…
でも見ていると、のらくらとした言葉の中に、サスケ君への好意が見て取れる。
それだけで、悪い人ではないのだ…と警戒心だけはいつの間にかなくなっていた。
「はぁ…ホント…
訳分かんないよね、サスケ
…君も気の毒だなぁ」
『え…?』
「あ、いや…別に〜」
よく分からない事を勝手に呟いて、水月はさっさと森の中に歩いて行ってしまう。
私は首を傾げて、慌ててその後を追った。
────…
花の顔が…見れない
一晩開けると、昨日の事がまるで悪夢のように俺にのしかかっていた
(俺は…取り返しのつかない事を…)
そう自覚した途端、罪悪感に全てが支配される
花が俺を見る瞳はまるで、カカシを見るような焦がれたものだ
だが心底望んでいた筈のそれを向けられる度、空虚感が胸をつんざく
そこに花の意思がなければ、俺はもう、欲しいとすら思わなくなっていた。
我ながらこの馬鹿さ加減には、呆れたものだ
「よお、サスケ
食材調達して来たぜ」
「ああ…」
「愛しのあの子が、料理してくれるってよ」
「……」
「…サスケには、笑って欲しいんだってさ
健気な事言うよねぇ〜」
「…チッ…」
聞くに耐え切れず踵を返す俺の手を、水月が掴んだ
「前にさ、 穢土転生で蘇った──…
えっと、初代火影の…名前…何だっけ?ほら」
「…?」
柱間の事を言いたいのか…突拍子もない話題に俺は目線だけを水月に向ける
「とにかく、あの初代のオッサンがさ、
言ってたのを思い出したんだ
──…"うちはの人間は、愛情深い" って」
こいつ…──突然何を言い出す…