第20章 追跡とアジトR18(3人視点)
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辺りが夜の帳に包まれていた。
私は建物の内部を見て周り、生活しても差し支えのない部屋をいくつか発見し 片付ける。
火遁でサスケ君が用意してくれた松明に火を付け、光の届かない各所に灯りを確保していった。
照らされたその奥は牢獄になっている。鉄格子の嵌められた狭い空間が、長い廊下の先にいくつも連なっていた。
かつては大蛇丸のアジトだった──…サスケ君はそう言ったが、この場所に人を閉じ込め 一体何をしていたのか…それを考えるだけで、私は身震いがしてしまう
確保出来たいくつかの部屋は、それを監視する者に割り当てられていたものなのだろうか。
閑散としたその冷たい空間に、私はサスケ君の過去を…少しだけ垣間見た気がしたのだった。
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サスケ君は暫く逡巡した後 目の前の2人をその場に置いて必要なものを調達しに出掛けて行った。
“水月と香燐" と呼ばれた2人が、私を見る目は冷たかった。
「好きにしろ」というサスケ君の言葉に2人はここに留まる事を決めたようだった
私はサスケ君の側に居られるだけでいい。でも…2人からの刺すような冷えた目が
…──何故か酷く、痛かった。
(どうしてそんな目で私を見るの?)
「花さん、だっけ?
君、このままサスケと一緒に逃げるの?」
不意に側に寄って来た異様な気配に、私は身体を強張らせる
──逃げる…?
「このまま火の国を出るなら、俺もついていくよ
君の事、気に食わない
──…あばすれ女は嫌いなんだ」
水月の剥き出しの敵対心に思わず目を伏せる
『わ…私はただ…
サスケ君と、一緒に居たくて──…』
「一緒に居たいなら
はたけカカシと別れたら?
それ共…──
火遊びだから、燃えるワケ?」
はたけ…カカシ…
その名前を耳にした途端、何かが込み上げてくる
『…っ…』
喉元を押さえる。そこに纏まり付く何かを払い除けたくなる。
「?…ちょっと、何…」
その反発してくる何かを覆ってしまう、霞んだモヤのようなものに──…不快感を、感じた
『…あ…っ
…か…かし…さ…』
その名前を口にしなければ、忘れてしまいそうだった。
モヤに───飲み込まれてしまう
「…──お前…」