第19章 芽生えた気持ち(3人視点)
だがならば何故 突然消えた?
折角無事を確認したのに、結局この事が気掛かりになる
「…っ…たく…ホント…
心配ばっかさせて…」
考えられる事は、あの子が無理して影分身を飛ばしたか…あるいは予期せぬ何かが起こったか…と言ったところか
渡された包みを手に、思考を巡らせる
俺の飛ばした影分身の情報を待つか、今すぐ自分で駆け付けるか
火影としては、前者
だが夫としては、後者だ──
その狭間で悩んだ末に…結局 俺は前者を選ぶ
(大丈夫だよな、花ちゃん…
俺の影分身が、付いてるんだから…)
────…
暫くして目を覚ますと、やはり変わらずに病室の天井が見えた
目の前には、カカシさん…
途端に事態を把握する。
(…やって…しまった…)
一体どの位、意識を失っていたのだろう?
相変わらずに刺すような痛みがこめかみを掠めていた。いよいよ風邪だと確信する。
「花ちゃん、気が付いた?」
『はい…
ご心配をお掛けして、本当にすみません
あの…もう、戻ってください
これ以上、お仕事の邪魔をしたくはありません』
発した声の弱々しさに我ながら驚く。声を出すと、余計に頭痛が酷くなる気がした
「俺は影分身だよ、だから気にしないの」
影分身…
だとしても一体、何時間 付き添うつもりなのか…
『カカシさん、本当に大丈夫です
私…多分、風邪を引きました
ここは病院だし、スタッフは皆同僚です
何かあれば直ぐに対処してくれます』
「はぁ…
はいはい分かったよ──…
全く、強情な子だね…
ま、一応本体の方も心配してるだろうからね
一旦消えるよ
──…じゃあ、いい子でね」
そう言うとそっと頬を撫でられ、影分身は渋々 自ら姿を消した
それを確認して、ほぅ…と息を吐く。
とにかく寝よう
検査結果に異常はない。ならばきっと寝れば治るはずだ
…大丈夫…
だが、引く気配のない痛みに限界を感じ、いっそ薬でも貰おうかともぞもぞと身体を起こした、その時だった。
扉の前にまた、人影が現れる。
その影に気付いた瞬間、何故か先程までの鋭い痛みが── 一気に引いて行くのが分かった。
『…サスケ、君…?』