第18章 記憶の消滅R18(3人視点)
「ろ…6代目、慌て過ぎです
言いましたよね?検査の結果、身体に特に異常は見つかってません
大事はないと思います、と…そう、前置きました」
「でも意識ないんでしょ?!
直ぐに行かなきゃ──…!」
しかし目の前に積まれた仕事の山に頭を抱える。
やるべき事が、多過ぎる…
俺は止むなくその場で、印を結んだ。
「──…くそ……
────影分身の、術」
(…っ…たく…
妻のこんな場面にも…
里に居ながら本体で駆け付けられないなんて…
…情けない…っ)
ボンッと現れる自分の分身に、花ちゃんの様子を見に行く様に指示を出し そのまま病院に向かわせた。
その後シズネを見送ると、再び重い気持ちで筆を手にし 目の前の書類に視線を落とす。
不甲斐なさに、指先が震えるのが分かった。
…何が…火影だ…
(急いでくれよ、影分身…)
花ちゃん…
今朝は元気だったのに、一体どうしちゃったって言うんだ?
──どうか無事でいて…
────…
「サスケ君が、花さんの事好きなのは昔から知ってました
今更そんな事で傷付いたりはしませんよ」
サクラちゃんは目を伏せてそう言った。
その瞳の色が、私の角度からはよく見えない。でも…
(…嘘、ばっかり…)
──…傷付いてる
私には、分かる
大好きな、ずっと思い続けていた人が…誰か別の人に、焦がれているのだから──
申し訳なく思うのは、間違っている
こんなのは只の同情に過ぎない事も、サクラちゃんからして見たら きっと鼻で笑いたくなるような感情だろう。
加えて自分は、当事者なのに…
それでも…そう思わずには、いられなかった。
私は、サクラちゃんの気持ちを、その恋を…ずっと応援して来たのだから
それなのに…
「サスケ君の気持ちに気付た時…
初めは──…花さんの事…ずっと…悔しい思いで見ていたんです
コイツどこのどいつだっ!!
しゃ〜んなろ〜って!!」
アハハ、とサクラちゃんは思い出した様に小さく声に出して笑った。
それを見て私は 言葉を失う。
『サクラ、ちゃん…』