第18章 記憶の消滅R18(3人視点)
カカシと花が玄関先で別れるのを俺は見ていた。
軽い足取りで出掛けていくあいつの、その後ろ姿を眺め…複雑な心境のまま花の家の窓から侵入する。
────…
あの幻影の消滅を見計らって、俺は動いた。
俺より強いかも知れないあの存在が、邪魔する事を避けたかった。
突然リビングに現れた俺を見て──花は驚いた顔をした。
『サ…サスケ君…っ?!
──…あ、窓から…?!
な、なんで…?!』
開いた窓を見て、花は俺がここにいる理由を一瞬納得する。
本当に隙だらけだ。
警戒心なく窓を開け放ち、突然押し入った形の俺に曖昧な笑みを浮かべる。
警告したのにこいつは、何も生かしていない
本当にお前は、昔から鈍臭い。
そんな事で火影の妻など…務まるはずがない
やめてしまえばいいんだ────カカシの妻など…
きっとお前には…荷が重い。
俺は一歩、また一歩と、花に近付いていった。
『…っ…え…』
何も言わない俺に、花は初めて戸惑った顔を見せる。
だが今更そんな顔をしても、無駄だ。
───俺はもう、決めてしまった。
だが、実際に嫌がるお前を、この手に掛けたくはない。
ここまで来ても…どこまでも、俺は腑抜けだ。
どう思われようと、構わない…
…いや、出来るならこんな俺を…
…花…
──…頼むから心底 軽蔑してくれ…
────…
写輪眼を発動させる。
赤い瞳に気付いた花の、顔色が変わった。
ちゃんと出来るだろうか──…写輪眼の幻術で…
頼むから怖がらないでくれ
──…優しくしたい…
俺の瞳を凝視した瞳は、空虚に幻術の中に消えて行った。
こうしてお前は一瞬で、俺と長い時間を共に過ごす事になるのだ。
──…胸が痛む…
こんな目に合わせてすまない…
すまない…