第17章 暴走する想い(サスケ視点)
サクラが目を見開いて、驚いた顔を見せた。
(何時間、ここで俺を待っていた…?
こんな事をされて──俺が、嬉しいとでも?)
みるみる頬を紅く染めていく
コイツを──殺そうとした事まで、ある。
あの場でカカシが止めなかったら、恐らくは、そうなっていた───だが、サクラは…
そんな俺を許したばかりか、まだ想っている。
「…何度拒絶されても
お前は諦めない──…報われないのに、だ
──虚しくはないのか?」
その姿が、今の自分に重なった
「サスケ君、泣いてるの…?
花さんの事──…本当に…好きなんだね
大丈夫だよ、サスケ君
傷は…必ず癒えるから…
───わ…私…っ…」
その瞬間、
衝動的に 俺はサクラに口付けていた。
何か想いがあった訳ではない。
只、目の前の自分と重なる女に
──…同調したかっただけだ。
「ん…っ」
欲望のまま舌を差し入れると、戸惑ったその舌先が健気にも応えてくる。
(…花っ…)
キスをしながら俺が考えたのは、目の前のコイツの事じゃなかった。
そのままキスを深める──…花の事を考えて…
サクラに惚れてなどいないのに…心の隙間を埋める──…その為に…
キスをしながらもどかしくなり、玄関の扉に手を掛ける。
──ガチャガチャ
「チッ」
思わず舌打ちをした。
(…興が削がれる…な…)
鍵、か…
一旦唇を離してサクラを見ると、これ以上ない程に頬を染め 戸惑う様な瞳で俺を見上げていた。
ポケットから鍵を取り出すと、扉を開ける。
「ナルトは暫く任務でいないが…泊まっていくか?」
俺は残酷だ。
サクラの気持ちを知っていて、それを利用する。
只、昂っている自分の欲望を…向かう所のない熱を…今目の前のコイツに、ぶつけようとしているに過ぎない。
……以前のカカシと何が違う
俺の空虚であろう視線に、サクラは哀しそうに目を伏せ だが小さくコクリと頷いた。
その手を引いて中に入る。そして扉を閉めた途端に、またその唇を塞ぐ。
抵抗されないのをいい事に、雪崩れ込むように部屋に入り、そのまま床に押し倒した。
「ん…っ…待っ…!
サスケ…君…っ…!!」