第17章 暴走する想い(サスケ視点)
今し方、俺は花にキスをした
──…無理矢理だ、どうかしていた。
だが気付いた時には身体が勝手に動いていた。
初めて触れた 愛おしい存在の温もり…
そのまま深くまで探って、もっとあいつに口付けたかった。
出来るなら花から…キスを、返されたかった。
───思い出すと胸が痛む
結局は…決して手に入る事のない存在だと、思い知らされただけだ──
俺はまた空を仰ぎ見る
先程まで雲に覆われていたその隙間から、微かな月明かりが溢れている。
花は…俺にとって
…あの月の光のような存在だ。
暗闇を優しく照らす
───手に…入れたかった…
あの、暖かな光を…
────…
ナルトの家の前に降り立つと
顔を上げた俺の前によく知る顔が立っている。
「サ、サスケ君!?
…あ…あの…お、お帰りなさい!!
遅かったん…だね…
久し振りの任務、お疲れ様!!」
──…サクラ…?
「…何の用だ?」
「あ…はは…
ごめんね、待ち伏せなんかして…
…どうしても…朝の別れ方が…気になって…」
思い出す──…確かにあれは、酷かった。
流石にコイツを傷付けただろう。
自分は傷つく癖に人の痛みには鈍感とは…
コイツも今は俺と同じ痛みを抱えている筈だった──…途端に酷く、不憫に感じる。
「──…悪かった」
「…え?
い、いいよいいよ!
私ってば、振られ慣れてるし!!
何回振られても、何度でも起き上がるよ!
しゃ〜んなろ〜って!!!
ね?だから気にしないで
…サスケ君が昔から
花さんの事好きだったのも
…知ってたよ…」
そう言ったサクラは、どこまでも優しい笑顔を向けて来た。
その顔を見た途端、俺の中で何かが弾ける。
「…お…前…っ
なんで…そんな顔が出来るんだ!!」
「え…きゃっ!!?…サ…サスケ…く…っ」
俺はサクラをガンっと壁際に追いやり、意図せず大声を出していた。
腕で逃げ場を無くすように壁に手を付く。
「俺はお前に応えられない…っ
…お前には、惚れてない…!
5年前から何も変わらずに
花が好きなんだ!!」