第15章 奇妙な三角関係
綺麗に血を拭ってから 私は掌にチャクラを集中して、サスケ君の頬に手を添え医療忍術を発動した。
青白いチャクラの光が暗闇の中、微かにサスケ君の綺麗な顔を浮かび上がらせている。
『…サスケ君…今日はありがとう』
その言葉にサスケ君は居心地の悪そうな顔をする。
「礼ならさっき──…カカシから聞いた」
返った言葉に私は思わず笑ってしまう。
『素直じゃないなぁ…もう』
治療によって少しづつ傷口が小さくなっていって、もうすぐ塞がりそうになったその時──…サスケ君の手が、頬に添えた私の手にそっと重ねられた。
「それに…
"俺"がお前の力になりたくて…
…好きで…した事だ」
そのまま向けられた甘い視線に、私の鼓動がドキリと音を立てる。
(…言わなきゃ…)
事件が片付いたら、言おうと思っていた事を──…
今……言わなきゃ駄目だ……
私は意を決して口を開いた。
『…サスケ君…
私はカカシさんが好きなの…
どうしても…それは変わらない…と思う…
…ごめん…ね…』
その瞬間…
言ったことを後悔する程に悲しげな瞳を向けられた。
(…ごめん…!
……ごめんね……こういうの…
言う方も…凄く 苦しいよ……)
「分かってるさ、
────分かってる…
お前が昔から
…あいつしか見ていない事ぐらい…っ
でも…
お前が好きな気持ちが消えない…
────諦めたく、ない…っ!」
そう言ったサスケ君の顔が間近に迫ると、顔を背ける間もなく唇が重ねられてしまった。
『!!』
捻じ込まれた舌が強引に奥まで侵入して来て、混乱する。
押し退けようと試みるが、びくともしない。
『──んっ…!』
(…力では…っ、敵わない…!)
私は咄嗟にサスケ君の舌を思い切り噛んで、力任せに突き飛ばしてしまった。口の中に血の味がひろがる。
『…ご…め…っ』
「………っ
……お前は……
……隙だらけだな……」
『…っ…』
「……
…悪足掻きだ…すまない…
────もう帰る」