第15章 奇妙な三角関係
(…何だか申し訳ない…
──けど、仕方ない──…よね)
幻影とはいえ カカシさんと同じ優しい笑顔を浮かべる彼をチラリと見て胸が痛んだ。
すると意外な言葉が聞こえて来て耳を疑う。
「花ちゃん
俺のいない間は
──…彼と過ごして」
『…え?!
カ、カシさん今……
いっ、一緒に過ごしてって
そう──…言いました?』
「うん」
思わず目を見開く。
さっきまでの彼は正に「嫉妬の嵐」だったのに、一帯どういうつもりなのだろう…。てっきり家には入れるな、と言われると思っていた。
『いいん…ですか?』
「そうしたいんでしょ?
それに…
どうせ君、罪悪感が湧いて家に上げちゃうよ
"俺" を家から締め出すなんて、出来ないもんね?」
驚きを隠せない私にカカシさんは笑い掛ける。
「…単純な奴だな、カカシ」
「だって…あいつは花ちゃんにとって もう完全に"俺"…みたいだし…
言ってみたら彼女の見ている「夢」みたいなものでしょ?
───実体のないものに嫉妬する意味、ないじゃない」
『…な…るほど…』
確かに実体はない。
幻影、幻──…彼は私の作った夢のような存在なのだ。
「俺も君が寂しくない方がいい
本当は俺が一緒にいたいけど
出来ないから……ね」
私は素直に嬉しくてカカシさんに笑顔を返す
『…ありがとうございます…
その……彼に罪はないので、そう言って頂けると嬉しいです』
(ちょっとだけ、変な気分ではあるけど…)
こう言うのを俗に、理解のある旦那様…とでも言うのだろうか
ホッとすると同時に安堵の溜息が漏れてしまった。
もう一度チラリと見ると幻影と目が合う。彼はやはり私の大好きな笑顔を浮かべてくれた。
────…
「気が抜けたら
お腹が空いて来ちゃった。
今日は朝の差し入れも
食べ損ねちゃったんだよね…」
『あ…っ、すいません気付かなくて!
実は作り置いたものが沢山冷蔵庫に…
暖かいお茶も、お入れしますね!
良かったらサスケ君も一緒に…』
2人のカカシさんが玄関の扉を開けて家の中に入っていく。
が降り仰いで見たサスケ君は首を横に振った。