第15章 奇妙な三角関係
(眠るまで…?)
…──そうだったんだ…
その言葉に私は納得する。
私より先に眠る姿を見なかったのは、そういう事…。そして朝起きると必ずいなくなっていたのも。
私はその後に浮かんで来た素朴な疑問を口にしてみた。
『あの…影のカカシさんは
"いつまで" 現れるんでしょうか?』
まさかこの先もずっと…
って事はないだろうし───…
自分の作り出したものなのに何から何まで全く分からないのが、気分的には…少し落ち着かない。
自覚がない分 この術の効果の「持続性」が私は気になっていた。
戸惑うような私の視線に、幻影である彼は申し訳なさそうな顔を見せる。その悲しげな表情にもドキリとしてしまう。
「ごめんね…俺の存在、君には迷惑みたいで…」
『え、そんな…っ!
"カカシさん" は私の為に出て来てくださっていたのに…っ、迷惑なんてそんな訳な』
だが自分で言っていて、ハッとする。
何だか本当の"カカシさん"に言われているみたいで私まで悲しくて…、つい 彼が幻影だという事も忘れ必死でその言葉を否定していた。
チラリと実際の夫を見つめると、彼は小さく笑って慰めるように優しく私の肩を抱いてくれた。
(……私、また…彼を嫌な気分に……)
「色の術の効果は通常のものでおよそ1週間
その間、術者は掛けられたものを自在に操る…と言われているんだよ。
ま、確証はないけど…"彼" の現れる期間も、大旨そんなところだろうね」
『い、1週間…ですか?』
そう言えば…習ったような…
本当に授業の内容を全く覚えていない自分が情けない。
もう何年も前の事だし、何となく覚えていたくないような…そんな気持ちもあったのだ。
1週間──…だとすれば、残り 後4日程はある。
自力で術が解けない以上、このカカシさんとはもう少し、関わらなければならないのだろう。
「術を解く方法はないのか?」
「……そうだな
まあ、1週間もすれば自然に解けるものだしね」
『そう…なんですね…』
影のカカシさんには申し訳ないが、私が眠るまでは離れた場所にいてもらうしかない、のかな…