第15章 奇妙な三角関係
その後、ポンポンっと頭を撫でられた。
「さっきも言っけど…
今回の原因が君の掛けた術で
俺は良かったと思ってるよ
寂しいのは俺も一緒だし、君はいつも…文句も言わずに我慢、してくれてるでしょ?
───…勿論、それはありがたかったけどさ」
そのまま少し身体を屈めて、まるで子供にするみたいに よしよし、と今度は大袈裟に撫でる。
カカシさんは私が泣くといつもこうしてくれるけど、それは私が安心するのを分かってやってくれているのだ。
その気持ちに胸は暖かくなる…が、やはりどうしようもない恥ずかしさは消えてはくれない。
「でもね、
俺はもっと 君に文句言って欲しかったんだけど…
それは知ってた?」
そう言って微かに彼も頬を染めた。
『…カカシ…さん?』
「はい、俺も今恥ずかしい事言ったよ!
しかもサスケの前で。
これでおあいこ、でしょ?」
『え…』
そのまま まるでキスしそうな距離に顔が近づいて来るが、私は何も反応出来ない。
サスケ君に見えない角度で彼の口布が少し下げられる。
「毎日俺に帰って来て欲しくて
……こんな"幻影"作るなんて…
………はぁ──…
可愛い過ぎ……」
唇が触れそうになる直前に、サスケ君のわざとらしい咳払いでハッとする。
私はカカシさんの顔を両手でガバッと遮った。
「ぐぇっ」
『…はっ!
ごッごめんなさい…かかしさん!』
慌てて手を離す。
「言ってろ。
──…バカ夫婦が」
サスケ君から向けられる白い目が…痛い。
私は例に漏れず赤面してしまうが、カカシさんはそんな彼の視線をまるで気にした様子もなく、ずれた口布の隙間からちょっとだけ舌を出した。
そうしてから改まったように、私以外の2人に向き合う。
「ありがとうなサスケ
お前が居てくれて…助かった」
「ああ」
カカシさんの素直な感謝の言葉に、サスケ君はどこか照れたように目を晒すのだった。
「あのさ…2人の邪魔はしたくないんだけど、花ちゃんが眠るまでは俺──消えないんだよね…」