第15章 奇妙な三角関係
「…」
『…っ…カ…カカシさん!
…ご、ごめんなさい!!ごめんなさい!!
──…これはその…っ
そ、そうじゃなくて…』
「…そうじゃなくて…?」
カカシさんが私を振り返って、視線が絡まる。
何を考えてるか分からない、顔。
────呆れてる…?
────怒ってる…?
どちらにせよこんなくだらない我が儘で、結局仕事の邪魔をしてしまったのはやっぱり "私" だった。
──…当然だ…
大事な仕事を放り出して、私を心配して来てくれたんだから…
私は火影様の妻で──…彼を…支えなきゃいけない立場なのに…
…邪魔してる…
な…何て、謝まったら…
それは、協力してくれたサスケ君にも同じ気持ちで──…
恥ずかしい────…
『…うぅ…
2人とも…ごめん…なさい…
…迷惑、かけて…』
こんな下らない理由の為に出て来た、影のカカシさんにすら申し訳ない気持ちが込み上げてくる。
もう頭の中がグチャグチャだった。
とにかく恥ずかしくて、こんな状況を作ってしまった自分が情けなかった。
『ごめ…なさ…っ…ひっく…』
「…はぁ…」
ポロポロ泣き出した私の耳に、呆れたサスケ君の溜息が聞こえてくる。
「花ちゃん?!
ど、どうして泣くの?」
泣き出した私を見て影のカカシさんが若干焦り出す。
「え、ご、ごめん…
もしかして、知られたく…なかった…のかな?
…でもね…
"俺"は多分、喜ぶって、そう思ったから話したんだよ…
──…でしょ?!
ほら!!泣いちゃったよ早く慰めて!」
慌てて取り繕うように本体のカカシさんを私の方へとぐいぐいと押しやって来た。
只でさえ近い距離にいたので、身体同士がぶつかりそのまま彼に抱き留められる形となる。
『…!』
え、そうなの…?
あ…呆れてない…?
…怒ってない…?
もう涙でグシャグシャで前が見えない。
そんな顔を見られたくなくて、俯いたままでいた。
「はは、やれやれ…ホント変な幻影
ほら、花ちゃんこっち見て」
くいっと顎を上向かされると、優しい顔が覗き込んでいた。
グリグリと手で、涙を拭われる。