第14章 対峙(サスケ視点)
「サスケ──…
お前、ストーカーか?
家の前で張って俺に襲い掛かってくるなんて…一体どういうつもり?
あんまりおかしな事したら黙ってないって
──俺、昨日言わなかったっけ?」
闇の中、赤く光る互いの写輪眼が対峙する。
(…昨日、か…)
本体のカカシと先程まで会話していた俺には、その辻褄の合わない言葉の内容がハッキリと分かる。
成る程、花も2日間 同じような違和感を感じていたのだろう。
"今日の本体の記憶" がないのだ。
意図的に掘り起こさなければ…出て来ないのだろうな…
術が未完全なせいだろう
…これは…幻影…
影分身などではない…
花によって"作り上げられている"もの。
ならばこの"写輪眼"も、偽物の筈だ。
だが… 幻影といっても、まるで実体のようだ。
分身より影分身がより高度な忍術であるように…この幻影にも、ただ見せるだけの幻以上に高いチャクラの練度が要されるだろう。
まして戦闘では本体以上の力を見せるなど、あり得ない
医忍の筈の花に、これ程強力な幻影が作り出せている事に、正直驚いている。
(…見事な術だ…)
本体以上に屈強な忍を幻術で作り上げ、不可能も可能にする…というのか…?
俺は…だが悪意の見えない影の瞳を見据えた。
「カカシの幻影
…花が困惑しているぞ
理解しているか?」
「…え?」
俺の言葉に、影のカカシは首からクナイを離す。
やはり…敵意はないようだ。
花が作り上げたものだと分かった以上、出来れば戦闘は避けたい。
反撃を喰らった事は想定外だった。
話し合えるのならばその方がいいだろう。
(こいつは…強い)
本気で遣り合えば果たして自分は勝てるのか、それさえも未知数だった。
まぁ──…花に害さえなければ、問題は無い。
ただ肝心の術者には自覚がなく、幻影との意思疎通は出来ていない。
そこは大きな問題だ。
このカカシを自ら作り上げている事にすら、花は気づいていない。
恐らくは技の全容を理解もしておらず、コントロールも出来ず…解くことも出来ない…といったところなのだろう。