第14章 対峙(サスケ視点)
見事な術…故に残念だが、暴走した、未完成なモノだと言わざるを得ない。
花の意向を無視してコイツが何かあらぬ事をするのであれば、手段を選ばず消滅させる必要も出てくるが…
「ふむ、写輪眼で見破ったのか…
………あれ?
今日は俺の本体、家にいるんじゃない?」
影のカカシは、屋内に自身のオリジナルの気配を察した様だった。
「ああ、そうだ
花は今、本物のカカシといる
肝心の花は、お前を無自覚で作り出していて──…現状、お前の事を恐れている。
お前も"カカシ"ならば…その頭で少しは状況を読め」
「……うん……
……あらら、なる程……
面倒な事になっちゃってるね…
…サスケ…
お前は
花ちゃんを守ってくれていたのか?
…悪かった、ありがとうな」
それはいつものカカシの顔、だった。
(今日の記憶を引き出した、か…)
「あいつに害を為す気は無いようだが、お前が毎夜 連日で現れる目的は何だ?
──花がお前を作り出した理由は、一体なんだ」
俺の言葉に、影のカカシは笑顔になる。
「俺の目的は────」
────…
バタンッ
玄関の扉が勢いよく開かれる。
俺達の戦闘に気付いたのだろう2人が、気配を察し慌てて飛び出して来たのだ。
「サスケ…っ
──…てお前が倒されちゃってる訳?」
『サスケ君!!』
カカシがマウントを取られている俺を見て花を背後に庇い、戦闘態勢に入る。
本体の方から不穏な殺気を感じ、俺は直ぐに立ち上がった。
そして間髪入れずに影と本体の間に瞬身で割り込んでゆく。
無駄な戦闘は、時間の無駄だ。
「カカシ、お前の察した通りだ
この影は花によって作り上げられた幻影、害はない」
俺の言葉に、カカシは戸惑いつつも殺気を消す。
「驚いた…本当に俺そっくり、だね。
───…まるで影分身だ」
花はカカシの後ろでこの幻影を自分が"作り出した"というその事実に固まっているようだ。
(…全く…
とんだ珍騒動、だな)
「これから 術の概要を説明する」