第12章 邪念(サスケ視点)R18
だが…どうしても考えてしまうのだ。
俺が"うちは"でなければ…
イタチの起こしたあの事件がなければ…
…里に残っていれば…
あの頃に、花に想いを告げていれば…
……カカシを見つめるあの瞳が……
俺に向けられる事があったなら…
全ては空虚な妄想に過ぎない。
だが…俺と花に…もしも…違う道が、あったのなら…
それを…──知りたい…
どうしても…
俺は花に向き合いたい。
「昨夜話したお前は、"影"だった。
だから本体であるお前にも、言っておく
俺は気持ちを抑える気がない、悪いな…」
昨夜は罪悪感もあったが、今夜はそれがない。
先程の件で思った以上に、俺は腹が立っているようだ。
分かり易い口先だけの謝罪に、カカシが顔を顰めた。
「悪いなって……
はぁ……
それで、はいそうですか、なんて…俺が言うとでも?
お前には他に想ってくれてる子も多い。
何で…花ちゃんなんだよ」
「さぁな」
「…言っても無駄って事?」
「心配ならば
檻の中にでも囲って置け
…それとも、俺を里から追い出すか?
火影のお前になら、その権限はある」
「お前な
……俺にそれをさせたい訳?
ナルトもサクラも、花ちゃんだって…
やっと戻って来たお前に
そんな事は、誰も望んでない。
そもそも復讐心に取り憑かれ
静止も聞かずに大事な物を放り出したのは…
お前の、勝手だろ
お前にも今、取り戻したい物があるのかも知れない…それも、分かるが…
あんまり目に余る事をすれば……俺だって黙ってないよ」
その言葉を聞いて、口角が上がった。
「影と同じ事を言う
ああ…理解した
もう戻れ、話は終わりだ」