第12章 邪念(サスケ視点)R18
先程まで引き締めていた気が少し緩む。
仲の良さを当てられたのは不愉快だが、
得体の知れない敵が相手…という可能性が薄まるのならば それに越したことはない。
そもそも火影の妻など
狙われる要素が多過ぎる。
「こんな話…
お前は聞きたくもないだろうけど
話さないわけにもいかないでしょ?」
「…何を今更」
ならば先程まで聞かされていたものは一体何なんだ。
間抜けな思考に
また舌打ちしたくなる。
「あはは…ま、それもそうか
じゃあ、それを踏まえた上で見極めてくれるか?
…──まぁ、これは可能性の一つだ
そうじゃない場合は、俺の影を捉えて目的を吐かせなきゃ…だもんね」
「そうなるな」
「じゃ、まぁ…今は待機だな
確か俺の影はこの2日間
"日付が変わる頃"に現れる…って言ってたよね?」
「ああ
3日目もそうとは限らないが
連日で現れた事を考えれば…恐らくは」
「うむ
その可能性は高い…と
よし、お前はこのままここにいてくれ
影が現れた時点で…──…悪いが頼むよ」
写輪眼で技を見極める…か
「怪しい動きをするようなら
攻撃して構わないから」
「はぁ…了解した」
恐らくは実力もカカシをそのまま模しているのだろう。
ならば俺が戦った方が早い。
コイツでは決着が付かない可能性が高いだろう。
花と2人この件を解決するつもりだったが…あいつの立場を考えれば、カカシがいる事は心強いだろう。
影と2人対峙しなくてもいい事を考えれば、な
俺だけでも、影のこいつ相手に傷一つ付けられず 守る自信はあったが…
────…
カカシが立ち上がると
火影のマントが風にはためいた。
「じゃあ頼んだぞ」と言い残し
屋根から飛び立つそのタイミングで
奴は思い立ったように俺を振り返った。
「あのさ…今更だけどお前…
俺と花ちゃんが結婚した事…
…知らなかったんだよな…」
そう言って徐に左手を目の前に翳した。
何事かと思えば
どうやらその薬指にある結婚指輪を
見せつけられているようだった。
「だったらなんだ?」
「うん。だからこれ見て
ほら、俺たち結婚したの
あの子はもう、俺の妻」
「…はぁ?」