第12章 邪念(サスケ視点)R18
暫くすると窓が開け放たれた。
その前に立つのは、花の気配…か。
俺は事の終わりを察し、長く待たされた事に痺れを切らしつつ またドアの前に降り立つ。
だが…
(…どんな顔を…するべきか…)
漏れ聞こえる声に欲情し、頭の中で…たった今、あいつを犯した。
自身の手で…あいつの肌を想像しながら、その猛り狂う欲をみっともなくも 吐き出したばかりだ。
自分の情けなさとその後ろめたさに、呼び鈴を鳴らす手がしばし躊躇した。
カカシに抱かれた直後のあいつは…
──…どんな顔を…している…?
さっきまでの不安気な顔は、愛する男に抱かれ 幸福な、満たされたものに変わっているのか?
ああ────…
そんな顔は
…見たくない…
今は、会いたくない…
だが、そうも言ってはいられなかった。
時間を考えれば、影のカカシがいつ現れてもおかしくはない。
俺はその暗く沈み込む思考を 自らの奥に押し込めるように呼び鈴を鳴らした。
────…
現れたのはカカシだった。
助かった…直ぐにそう思った。
「…待たせたね
声…聞こえちゃった…よね…
…その…
聞かせておいてなんだけど…忘れてくれると、ありがたいな」
「…殺すぞ…」
白々しい…
これ見よがしに俺を牽制しやがった癖に、どの面を下げそんな事を言えるんだ。
だが反面、少々愉快な気持ちにもなる。
端から相手にしない、という選択肢ではないことに。
コイツは俺に多少なりとも、危機感を覚えているらしい。
「…呆れてものが言えんが、
───大分、マシな面になったようだな
それで…──どうする?」
「ああ、今日は俺も残るよ
…実はその件で一つ思い出したことがあってね」
そう言って部屋の中の花の様子を省みた。
俺もそれに倣うように、ドアの隙間から微かに見えるソファに目をやる。
そこでグッタリとしているあいつを視界に捉えた。
(…花…
あの様子ではほって置けない
──…といったところか)