第2章 色の術R18
いつのまにか自分は、どんどん欲張りになってしまった
『いくら好きで触れ合っても…それでも足りなくて身体を繋げてみても……どんなに思い合っても…
結局は違う人間…ですから…もどかしい、というか…』
私もカカシさんと出会わなければ、こんな感情知らなかった
『…同じですか?』
この感情を教えてくれたのは彼だ
側にいても、遠く離れていても、私の心の真ん中にはいつも彼が陣取っている
自分の意思では、それを動かすことは出来ず…胸が苦しくなるという表現は…恋愛においてとても的を得ているように思う
それは片思いだった頃より寧ろ、心が通い合った今の方が遥かに多く感じるのだから不思議なものだ
「…うん、同じ…」
『…ふふ…恋って、そういうものかもしれませんね』
本当に 恋愛経験があまりないんだなぁ、カカシさん
モテる人だから…最初は嘘かと思ってたけど、こういう場面に出くわすとそれが事実なんだと感じる
「君と離れるのが辛い
恋するとみんなこんなにも辛いの?」
さり気なくもすごい口説き文句だ
暗に私以外の女性に、そういう感情を抱いた事はないのだ…と言われている
頬が熱くなる
『もうっ…いい歳の方が言う台詞とは思えません』
「…だよねぇ、お恥ずかしい」
『…冗談です、すごく…嬉しい、です…』
顔を上げると、愛おしそうに私を見つめる視線がそこにある
こんな風に自分を見つめてくれる人を愛する事が出来て…私は本当に幸せだなぁ…
「俺…こう言う気持ちからは正直、ずっと逃げて来た…ってのもあるんだよね…
…はは…ヘタれ、でしょ?」
『カカシさん』
「君と出会わなければ、俺はきっと生涯独身だったよ」
思わず涙腺が熱くなる
「愛してるよ、花ちゃん」
『はい、私も愛してます。カカシさん』
そうしてお互いに、迷いのない言葉が出る
愛している事をお互いに確認するだけで、離れている時間は帳消しになり…気持ちは驚く程穏やかになる
「俺と結婚してくれて、ありがとうね」
そうしてまた、顔を寄せられると唇を重ねる