第5章 ⑤相模屋紺炉 切甘
「つまり、お前さんに俺が懸想してるんだ」
『紺炉さんが…私に?』
え、夢?
「こんなおっさんに好きだなんて言われても気持ち悪いかもしれねェが…」
『…っ』
「お、おいっ」
夢かもしれないと思って頬をつねってみたが、どうやら現実らしい。
『本当に…本当ですか?』
「本当だよ」
『もう…がま、ん…しなくても、いいの?』
あまりの嬉しさに言葉を詰まらせて、涙が出てきてしまった。
「あぁ、我慢しなくていい。悪かったな。随分待たせちまって」
『うっ、私も!紺炉さんが、大好きです!魅力がないかもしれないけど、私が誰よりも紺炉さんが好きです』
「ありがとう」
今度は、紺炉さんの前とか後ろじゃなくて隣を一緒に歩きたい。