第5章 ⑤相模屋紺炉 切甘
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「はぁ…」
第八に戻るところで、桜備大隊長の後ろ姿を見つけた。大隊長!と声をかけると、振り返ってくれた。
「おぉ、森羅!また浅草行ってたのか?」
「えぇ…まあ…」
少し気落ちした声を気づいて、声をかけてくれた。
「なんだ、さんに振られたのか?」
「まぁ……そうですね」
「なにっ!?」
いきなり大声を出されて、耳を塞いだ。
「声が大きいですって!」
「す、すまん。………もしかして、紺炉中隊長か?」
「そう…なりますね」
はじめからわかってた。紺炉中隊長の姿を探してるさんを見てた。その視線を俺に向けてくれたら、なんて淡い期待をしていたが、あそこまで紺炉中隊長に言われると入り込む隙は…ないよな。
「新門大隊長に目元以外そっくりで、綺麗だもんなぁ」
「でも、最初からさんは紺炉中隊長が好きでしたから…」
「なんだ?珍しく諦めが早いな」
「もし、紺炉中隊長がさんを泣かせるようなことがあれば、俺が貰うんで!そう、言ってきました!!」
「それでこそ、森羅だ!」
まだ、すぐには忘れられないだろうけど…
いつか、俺にもあんな笑顔見せてほしいな。
(…やっと、か。、今幸せか?)
(うん!紅もいて、紺炉さんもいて一生分の幸せを使っちゃったくらいに!)
(紺炉。てめェ、を泣かせたら許さねェからな)
(わかってますよ。まぁ、嬉し泣きはさせちまうかもしれねェ)
(惚気かよ)