第5章 ⑤相模屋紺炉 切甘
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「おい、紺炉。いいのか」
先程出かけた達を遠くで眺めていると、若が声をかけてきた。
「いいのか、とは…?」
「森羅にやっちまうぞ」
「……俺とじゃ、歳も離れすぎる。森羅の方が適任ですよ」
38歳の俺からしたら、20歳のは二回り近く離れている。そんなの、幸せになれるはずがねェ。
「…じゃ、なんで…昔アイツにもらった髪紐使ってンだ」
「…」
「じれってェンだよ!俺は、紺炉なら任せられると思ってた。アイツの気持ちを知ってるくせに、見てみぬフリすんのかよ」
「…灰病になってる俺と一緒になっても」
突然、紅が頭突きをかましてきた。
「いっ!」
「向き合えねェ理由を探すんじゃねェ!好きなら、ちゃんとに伝えやがれ!!」
珍しく俺が紅に怒鳴られちまった。
情けねえな…
「次、そんなしみったれた面(つら)してたら今度は、頭かち割るからな」
あぁ、本当…紅は容赦ねぇな。