第5章 ⑤相模屋紺炉 切甘
『ねぇ、紅』
「なんだ」
どうしたら、紺炉さんは私を女として見てくれるのかな?
そんな突拍子もない一言に、紅は呆けていた。
「突然、どうした。変なモンでも食ったか?」
『そんなこと言うんだ。もう、紅と一緒に博打やりに行ってあげないから』
いつも弱いくせに、あんなところ行くんだから…
「んだよ。可愛くねェ妹になったもんだ」
『そうだね。だから、紺炉さんもいつまで経っても見てくれないんだよね』
シュンとして、寝転がりうつ伏せで縁側を見やると最近よくご飯を一緒に食べに行く森羅が立っていた。
「お邪魔します。さんを迎えに来たんですが…」
「ほら、迎えだとよ」
『…ん』
紅は、過保護だと思う。だって、昔はよく近付く男の子達を睨みを効かせてたから、第七の人達以外と喋ったことがなかった。買い物に出る時も、紺炉さんがよく付いて来てくれた。忙しいから大丈夫だと言っても、紅の妹に何かあったら困る。とそればかり…
『いってきます』
「森羅、伍時までには送ってこい」
「了解です!」
『過保護なんだから、ご飯食べに行くだけ…伍時前には帰ってきますから大丈夫デスヨ』
森羅は優しい。事あるごとに、連絡してくれる。今日は新しい簪を見つけて、髪にさしてくれた。お洒落というのに無頓着だから全くわからないけど、森羅は何故か赤い顔をしている。
『森羅は、彼女作らないの?』
それを聞いた森羅は、はぁ…とため息をついて「やっぱり意味知らないで受けったな」なんて言ってる。
何か深い意味があるのかな?