第8章 運命論者の悲み
「また殺人事件の解決依頼だよ!
この街の市警は全く無能だねぇ
僕なしじゃ犯人ひとり捕まえられない」
ニッ
「でもまあ僕の【超推理】は探偵社、いやこの国でも最高の能力だ!皆が頼っちゃうのも仕方ないよねぇ!」
ムギュ
「乱歩さん。その足元の本横の棚に戻さないと」
「これは失礼」
トンッと踏んでいた本の上から降りる乱歩
「はい どうぞ」
乱歩は本を直すことなくス···と棚を指さす
足元にあった本は
「頼りにしてます。乱歩さん」
そう云った国木田により直された
「そうだよ国木田」
ビシッと指を立てる乱歩
「きみらは探偵社を名乗っておいてその実、猿ほどの推理力もありゃしない。皆 僕の能力【超推理】のお零れに与っているようなものだよ?」
「凄いですよね【超推理】。使うと"事件の真相が分かっちゃう能力"なんて」
「探偵社 いえ全異能力者の理想です」
『ほんとほんと!乱歩さんに掛かれば解けない謎なんて皆無ね!』
「はっはっは 当然さ」
「「「······猗憐/さん!?」」」
「どこに居たんだ猗憐!おかげでこの有様だ!」
『どうどう国木田くん!元気を出し給え!黒蜥蜴、やっぱ来たかぁ。』
「"やっぱ"···?逃げたのか?逃げたんだな?そうなんだな猗憐?」
『い、いやぁ〜防衛本能だよー。決して!断じて!違うからね!?面倒だな〜とか!隠れよ〜なんて!思ってないよ!?』
そう云い乍ら視線を逸らす猗憐
「ったくお前は······!何故毎度毎度····」
ガミガミと説教を始める国木田に正座で縮こまる猗憐
「ハァ。ったく······小僧 ここはいいから乱歩さんにお供しろ。現場は鉄道列車で直ぐだ
猗憐お前も行けよ」
「ぼ 僕が探偵助手ですか?そんな責任重大な」
「真逆 二流探偵じゃあるまいし、助手なんて要らないよ」
「え?じゃあ何故」
「僕、列車の乗り方判んないから」
「······え、で でも猗憐さんは······?」
『えへへっ私も乗り方判んないの!』
照れたようにはにかむ猗憐に呆れながらも可愛いなと思った敦だった