第8章 運命論者の悲み
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《黒蜥蜴》の脅威を目の当たりにした敦は荷物を持ち非常階段を降りる
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ドォオオン
敦が着替えていると外から爆発音が聞こえた
(爆発······?まさか!)
「皆殺しだッてよ」
「非道い······」
外に出て現場へ駆けつけた敦
「特殊部隊なみに戦闘術を持ちしかも恐ろしく残酷だとか」
「マフィアの武闘派《黒蜥蜴》······」
(もしそんな奴らが事務所になだれ込んだら······)
プルルル
敦は公衆電話を使い電話を掛ける
カチャ
"「何方ですか?」"
電話口から聞こえる声は先日のマフィア──樋口一葉のものだ
「僕だ」
"「人虎!?」"
"(そうか 探偵社で渡した名刺を見て······)"
"「先日はお仲間に助けられたようですが、次はそうはいきません。それでご用件は?」"
「僕は探偵社を辞める」
"「な······!?」"
「辞めて一人で逃げる。捕まえてみろ」
"「成る程──"だから探偵社には手を出すな"と?」"
「··········」
ガチャン
敦は応えず電話を切る
ツーツー
切れた電話に目を閉じ携帯を閉める
「《黒蜥蜴》を呼べ」
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