第6章 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス
軽い調子で男が乱入し二人の間へ割込む
途端──黒獣は消え、敦は元の姿へ
突如現れた太宰の姿に驚愕する芥川
「なッ······」
「貴方 探偵社の──!何故ここに!」
ゴソッと懐から"あるモノ"を取り出す
「美人さんの行動が気になっちゃう質でね」
そう云いヘッドフォンに隠れた"長方型"を取り出す
「こっそり聞かせて貰ってた」
「な······真逆」
樋口は慌てて自分の衣囊を探った
そして見つけたのは
「盗聴器!?」
思い出す始めの太宰の行動
「では最初から──私の計画を見抜いて」
「そゆこと」
にっこりする太宰
「ほらほら起きなさい敦君、三人も負ぶって帰るの厭だよ私。」
「う······」
ぺちぺちと敦の頬を打つ
「ま······待ちなさい!生きて帰す訳には」
銃を向ける樋口だが、
「くく······くくく
止めろ樋口お前では勝てぬ」
芥川が云う
「芥川先輩!でも!」
「太宰さん今回は退きましょう──しかし」
ヒュウゥウゥゥ
突如鳴る空気を裂く音
トンッ
軽やかに着地する一人の女
『莫迦!』
開口一番にそう云い太宰に詰寄る猗憐
『約束したでしょ!?一緒に居るって!勝手に居なくならないって!裏切らないって!!』
目を潤ませ然し睨む様に太宰を見上げる
『心変わりするかもって?居なくなるかもって?そう思ったの?』
「猗憐······」
苦虫を噛み潰したような顔の太宰
「なっ······貴女が此処に居るとは······いや、太宰さんが居るならそうか······」
目を見開く芥川に気付き振り返りる
『久しぶりだね。龍之介。』
「お久し···ぶりです、···猗憐、さん······。」