第6章 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス
「玉砕か──詰らぬ」
黒獣が敦目掛け飛んで来る
が、
敦は姿勢を低くしそのまま芥川の隣を通り後ろへ勢い良く滑り込み樋口の持っていた銃を手に取った
「ほう」
タタタタタ
弾は全て芥川の背に中った──
──筈だった
ぐりんっと頸だけを後ろに向けた芥川
「!?」
カランカランと落ちる中った筈の弾
「そ んな······何故······」
「今の動きは中々良かった。しかし所詮は愚者の蛮勇。云っただろう。僕の黒獣は悪食。凡るモノを喰らう。仮令それが"空間そのもの"であっても
"銃弾が飛来し着弾するまでの空間を一部喰い削った"。槍も炎も空間が途切れれば僕まで届かぬ道理」
「な······」
(そんなの······攻撃の仕様が無いじゃないか!)
「そして僕 約束は守る」
黒獣が敦の片脚を喰い千切る
「ぎっぎゃあぁぁああぁあ」
敦は絶叫する
─────
グスッ···ヒック
"泣くのを止めろ餓鬼め!"
パァンッ
"詮無く泣いて許されるのは負うてくれる親のある児のみ!
親にも捨てられなような餓鬼に泣く資格など無い!"
そうだ······
過去の自分を眺める敦
僕は ずっと見捨てられ乍ら生きてきた
それでも僕は──