第6章 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス
後ろから伸びる手が樋口の頸を捕らえた
「──ッ!?」
「死んで終え──!」
そう云い頸を絞めあげる
「くッ···あ」
ゴホゴホ
ドサッ
咳込む声が聞こえた後倒れる谷崎
後ろに現れたのは先刻の写真の男
「死を惧れよ 殺しを惧れよ 死を望む者
等しく死に 望まるるが故に───ゴホッ」
谷崎の背に刺さった"黒"が男の元へ...
"こいつには遭うな。遭ったら逃げろ
俺でも──奴と戦うのは御免だ"
「な──」
「お初にお目にかかる
僕は芥川」
自己紹介をする男──芥川
「そこな小娘と同じく卑しきポートマフィアの狗──」
ゴホゴホ
「芥川先輩!ご自愛を──此処は私ひとりでも」
ピシッ
樋口の言葉を遮り平手打ちを喰らわせる
「人虎は生け捕りとの命の筈。片端から撃ち殺してどうする
役立たずめ」
「──済みません」
「人虎······?生け捕り······?あんたたち一体」
「元より僕らの目的は貴様一人なのだ人虎
そこに転がるお仲間は──いわば貴様の巻添え」
「僕のせいで皆が──?」
「然り。それが貴様の業だ人虎。貴様は"生きているだけで周囲の人間を損なうのだ"」
脳裏に浮かぶ孤児院の院長たち
「自分でも薄々気がついているのだろう?」
「【羅生門】」
瞬間、黒の外套が黒獣に姿を変え敦の足下目掛け 来る
「──!」
「僕の【羅生門】は悪食。凡るモノを喰らう。抵抗するならば次は脚だ。」
足下スレスレに地面を抉った黒獣
敦は腰を抜かしへたり込む
「な 何故?どうして僕が──」
(僕のせい──僕が生きてるだけで皆不幸になるのか──?)
「······くん······敦 くん······逃げ ろ······」
「(皆 まだ息がある······)」
"貴様も今日から探偵社が一隅社の看板を
汚す真似はするな"
国木田の言葉を思い出し顔を上げる敦
そして──
「うわああぁああぁあ!」
駆け出した